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2025年6月26日、国土交通省は宅配ボックスや玄関前に荷物を届ける「置き配」を、宅配便の標準サービスとする検討に入りました。これまでの手渡しによる配達を見直し、宅配便ドライバー不足が深刻化する中、再配達を減らし、負担削減につなげるのが目的です。
国土交通省の調査によると、2025年4月時点の全国平均再配達率は8.4%でした。都市部では9.3%、都市部近郊では7.9%、地方では7.0%と、地域によって再配達率に差が見られます。2024年度中に再配達率を6%まで抑えるという政府目標がありましたが、現状では達成できていません。置き配は便利なサービスですが、盗難や紛失のリスト、荷物の破損リスク、長時間の放置は第三者に個人情報が見られてしまうなどの課題があるため再配達率がなかなか減らない現状があります。
国土交通省(国)の補助金と自治体の補助金の違いとは
2025年度に国土交通省が実施している補助金では主に「子育てグリーン住宅支援事業 」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」「子育て支援型共同住宅推進事業」があります。
国土交通省が支援している補助金では、登録されているメーカー・製品でないと対象にならなかったり、工事を依頼するには支援事業に登録のない事業者との契約の場合は補助対象とならないなどの制約がありますので、内容確認が必要です。
「子育て支援型共同住宅推進事業」では「補助対象共同住宅における子育て(18歳未満の子どもを養育)世帯の入居率が3割以上であること」などの制約があるため単身者向けマンションやアパートは対象にならないといったこともあります。
子育てグリーン住宅支援事業
注文住宅の新築・新築分譲住宅の購入
世帯を問わず、グリーン住宅支援事業者と契約し、GX志向型住宅を新築する場合や子育て世帯または若者夫婦世帯が、グリーン住宅支援事業者と契約し、長期優良住宅・ZEH水準住宅を新築する場合、補助対象となります。
賃貸住宅の新築
建築主かつ賃貸オーナーがグリーン住宅支援事業者と契約し、GX志向型、長期優良又はZEH水準の住宅性能を有する賃貸の用に供することを目的とした住宅(以下、賃貸住宅)を新築する場合、補助対象となります。詳しい要件は以下の通りです。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期優良住宅化リフォーム推進事業とは、良質な住宅ストックの形成や、子育てしやすい生活環境の整備等を図るため、 既存住宅の長寿命化や省エネ化等に資する性能向上リフォームや子育て世帯向け改修に対する支援を行う事業です。
子育て支援型共同住宅推進事業
共同住宅(賃貸住宅及び分譲マンション)を対象に、事故や防犯対策などの子どもの安全・安心に資する住宅の新築・改修の取り組みや、子育て期の親同士の交流機会の創出に資する居住者間のつながりや交流を生み出す取り組みに係る事業を公募し、予算の範囲内において、本整備に要する費用の一部を補助するものです。
宅配ボックス設置に関して国土交通省が支援する補助金対象者は、全国レベルでの政策対象となる世帯や事業者となり、例えば「子育て世帯」「若者夫婦世帯」「既存の共同住宅オーナー」など、特定の条件に合致する層が対象となります。要項は細かく設定されており、補助対象となる工事内容や、住宅の性能、申請者の所得・年齢などの要件を満たす必要があります。宅配ボックス単体で補助されることもありますが、他の主要な改修工事と合わせて申請することが求められる場合が多いです。
地方自治体が支援する補助金対象者は、その自治体の住民(個人)や、自治体内に事業所を持つ企業・団体が対象です。自治体によって様々ですが、比較的身近な要件(例: 市内に居住、市内の業者に依頼など)や簡易な条件内容が設定されることが多いです。申請については、国土交通省の補助金はその支援補助金に登録した工事業者が申請対応することが一般的ですが、自治体の補助金申請については設置する個人で申請から完了報告まで自分で行わなくてはならない煩わしさもあります。
国と地方自治体の補助金の併用について
原則として、同じ事業や費用に対して国と地方自治体の補助金を重複して受けることはできません。
しかし、補助対象となる費用が異なる場合(例: 国の補助金は断熱改修費に、自治体の補助金は宅配ボックス設置費に)や、国の補助金が地方公共団体を経由して交付される場合(この場合は併用とみなされない)など、併用が可能なケースもあります。
必ず各補助金の募集要項で「併用の可否」を確認することが重要です。
東京都で宅配ボックス設置の補助金・助成金支援をしているところは?

一方、宅配ボックスは再配達の問題を解消する効果が期待できるため毎年各自治体からの補助金支援制度の対象にもなっているところも多いです。2025年度の東京都で宅配ボックスの設置に対して補助金・助成金を支援している東京都23区市町村の一部をご紹介したいと思います。
申請が予算額に達した場合は、受付は終了となりますので、常に最新の情報を確認しご検討されている方はお早目に申請した方がよいでしょう。
東京都板橋区
【事業概要】
宅配ボックスの設置について経費を一部補助し、宅配ボックスの導入支援をすることにより、宅配での再配達を抑制させ、物流における温室効果ガス排出削減を図ることを目的としています。
東京都板橋区の宅配ボックス設置補助金の詳細はこちらより
【補助対象となるボックスの条件】
- 施錠できる構造となっていること。(南京錠で施錠するものは除く。)
- 3辺の合計が 75cm以上の荷物が投函できる大きさがあること。(集合住宅用の宅配ボックスについては、1つ以上のボックスが本要件を満たすこと。)
- 設置する宅配ボックスは、袋式及び折りたたみ式でないこと。
- 板橋区内の施工業者の設置工事により移設できないように固定されていること。(ただし、宅配ボックス販売業者が区外業者の場合でも、施工が区内業者ならば補助の対象とします。)
- 交付決定後に購入及び設置に関する契約が行われること。
- 設置する宅配ボックス等は未使用であること。またリースではないこと。
- 補助対象に対し、区から他の補助等を受けていないこと。
- 板橋区内の住宅、事業所、集合住宅に設置されること。
- 設置する戸建住宅、事業所、集合住宅の販売・譲渡を目的としていないこと。
- 設置する戸建住宅、事業所、集合住宅は、交付申請時において、既に完成しており、生活または経済活動の実態があること。
【補助額】
戸建住宅・事業所に施工する場合:補助対象経費の10分の3(上限3万円)
集合住宅に施工する場合:補助対象経費の10分の3(上限10万円)
【対象】
本体費用(門柱、IoT対応ボックスとして使用するための機器等を含む)、施工費用等
【申請期間】
令和7年4月1日(火曜日)から令和8年2月13日(金曜日)まで
東京都葛飾区
【事業概要】
再生可能エネルギーの利用促進や、省エネ・節電対策として、太陽光発電システムや省エネ機器などを集合住宅に導入する際、費用の一部を補助します。
東京都葛飾区の宅配ボックス設置補助金の詳細はこちらより
【補助対象となるボックスの条件】
- 施錠できる構造となっていること(南京錠で施錠するものは除く)。
- 3 辺の合計が 75 センチメートル以上の荷物が投函できる大きさがあること。集合住宅用の宅配ボックスについては、1つ以上のボックスが本要件を満たすこと。
- 設置する機器は袋式及びおりたたみ式でないこと。
- 業者の設置工事により移設できないよう固定されていること。(申請者自らが設置できるものは対象外。)
【補助額】
- (戸建て住宅用)宅配ボックス
助成対象経費の1/2(「IoT」対応*:助成対象経費の2/3)
限度額:5 万円(IoT 対応:15 万円)
*宅配ボックス自体がインターネットに接続しているタイプの製品で、スマートフォンへの通知機能があるもの - (集合住宅用)宅配ボックス
助成対象経費の1/2(「IoT」対応*:助成対象経費の2/3 )
*宅配ボックス自体がインターネットに接続しているタイプの製品で、スマートフォンへの通知機能があるもの
限度額:15 万円(IoT 対応:25 万円)
【申請期間】
令和7年4月1日(火曜日)から令和8年3月31日(火曜日)まで【必着】
東京都足立区
【事業概要】
快適で安全な住まいのために、自己居住の住宅(分譲マンション専有部分を含む)の以下に掲げる工事、または、分譲マンションの共用部分に行う段差解消工事などに対する費用の一部を助成します。
東京都足立区の宅配ボックス設置補助金の詳細はこちらより
【補助対象となるボックスの条件】
助成対象は戸建住宅のみ。チェーン・ワイヤー等での簡易な固定を除く
【補助額】
対象工事費(消費税は除く)×下記工事種類ごとの助成割合=助成金額(上限金額:合計10万円、千円未満切り捨て)
固定式宅配ボックスの設置工事 対象工事費の5分の1
【申請期間】
令和2年2月3日から実施中
東京都内で宅配ボックス補助金支援を実施している自治体まとめ
下表は、2025年時点で東京都内で宅配ボックス補助金支援を実施している自治体をまとめました。
| 自治体 | 上限金額(戸建て) | 上限金額(集合住宅) | 補助率 | 主な条件一部抜粋 |
|---|---|---|---|---|
| 板橋区 | 上限3万円(IoT対応上限10万円) | 上限10万円(IoT対応上限17万円) | 3/10 | ・3辺の合計が75cm以上の荷物が投函できる大きさ ・板橋区内の施工業者の施工が条件 ・交付決定後に購入及び設置 |
| 葛飾区 | 上限5万円(IoT対応上限15万円) | 上限15万円(IoT対応上限25万円) | 1/2(IoT対応2/3) | ・3辺の合計が75cm以上の荷物が投函できる大きさ ・施工業者の施工が条件 ・交付決定後に購入及び設置 |
| 足立区 | 上限10万円 | - | 1/5 | ・戸建住宅のみ対象 ・施工者は区内業者であることが条件 ・交付決定後に購入及び設置 |
他にも東京都23区市区町村で補助金支援しているところは?
地域別に詳しく調べたい方は 👉 補助金検索ページはこちら
補助金をもらうには施工が必須ということが条件ですので、戸建て向けには敷居が高い感じがしますね。後付け設置の場合で戸建てにアンカー固定施工をされる方は稀です。アンカー固定施工を必須とする集合住宅(マンション、アパート)への設置を検討している大家さんにとっては利用する価値があるのではないでしょうか。
最後に
東京都内では、宅配ボックスの設置に対する補助金制度や再配達削減に向けた取り組みとして、宅配ボックスの設置を推奨する動きも活発です。江東区では一定規模の新築の共同住宅を建設する際には宅配ボックスの設置義務化が進んでいます。新宿区では、マンション管理計画認定制度の運用開始に伴い、令和6年4月から管理計画の認定を取得したマンションに対して、管理計画認定取得促進事業による「宅配ボックス設置費用の助成」を行うなどもしています。
※管理計画認定取得促進事業(宅配ボックス設置費用補助)とは、マンション管理計画の認定を取得したマンションが、新たに宅配ボックスを設置する際、マンション管理組合に対してその費用の一部を補助する事業です。
宅配ボックスの導入は、再配達の削減や日々の利便性向上に繋がるため、今後も様々な自治体で支援が続くことが予想されます。ぜひ、ご自身の地域で補助金制度がないか確認してみてください。


