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近年、再配達問題や防犯意識の高まりから注目されている「宅配ボックス」。アパート、マンションに導入することで、荷物を受け取る手間が減り、入居者にとっては生活の利便性が大きく向上します。しかし「種類が多すぎてどれを選べばいいのか分からない」「どうやって開けるの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、宅配ボックスの施錠方法ごとのメリットやデメリット、種類ごとの特徴、選び方のポイントまでを徹底解説。
初めて宅配ボックスを検討している方も、比較して選びたい方も必見の完全ガイドです。
宅配ボックスは入居者にとって人気の設備
宅配ボックスはアパートやマンションの入居者にとって非常に人気のある設備の一つです。特に共働き世帯や一人暮らしの方など、日中に不在にすることが多い入居者に強く支持されています。
人気の理由
・再配達の手間を省ける
不在時でも荷物を受け取れるため、再配達の依頼や受け取り時間の調整が不要になります。
・防犯面の安心感
玄関前に荷物を置かれるリスクがなく、盗難防止につながります。
・ネット通販の普及
ECサイトの利用増加により荷物を受け取る頻度が高くなっているため、宅配ボックスの利便性がますます評価されています。不動産関連の調査では「欲しい共用設備ランキング」で常に上位に入っており、特に首都圏のマンションでは標準装備化が進んでおり、新築マンションや賃貸物件の広告でも「宅配ボックス完備」と強調されることが多く、集客面での効果も高いといわれています。

参照:全国賃貸住宅新聞「2024年人気設備ランキング」
マンションやアパート用宅配ボックスの種類
マンション管理組合や賃貸オーナー様にとって、集合住宅向けにはどのような宅配ボックスがあるのか探している方も多いのではないかと思います。マンションやアパートに設置する宅配ボックスにはいくつかの種類があり、設置目的や利用シーンに合わせて形態が異なるので、代表的なタイプをご紹介します。
設置場所による宅配ボックスの種類
・共有タイプ
エントランスなどの共用スペースに設置し、複数世帯で利用するタイプ。入居者数に合わせてボックス数を選ぶ。

・個別設置タイプ
複数世帯で共有するのではなく、各部屋ごとに設置する専有タイプの宅配ボックス。小規模アパートやタウンハウスに適している。

マンションやアパート用宅配ボックスの施錠方法による種類と使い方
アパートやマンションのエントランスや共有部に設置される宅配ボックスには、いくつか代表的な鍵の種類があります。セキュリティ性や管理のしやすさによって仕様が異なりますので、どの施錠タイプが設置予定の物件に合っているのか参考にしてください。
①. 暗証番号錠タイプ
・使い方
宅配業者が任意の暗証番号を入力して扉を施錠し、入居者が設定された暗証番号を入力して解錠
・メリット
機械式は電源がいらないためランニングコストが発生しない。入居者の鍵が不要なため紛失リスクがない(液晶やランプ付錠は電池や電源が必要)
・デメリット
宅配業者による暗証番号記載間違いや暗証番号が記載された不在票を紛失すると入居者では解錠ができない
・解錠ができない場合
非常解錠キーを利用

参照:SDSのマンション用宅配ボックスの使い方
②. シリンダー錠タイプ
・使い方
専用のキーで解錠する方式
・メリット
シンプルでコストが安い。電子部品がないため、故障リスクが少ない
・デメリット
各入居者に鍵を配布するため管理の手間が発生。入居者専用ボックスとなるため複数人利用には不向き
・解錠ができない場合
シリンダー錠が故障している可能性があるため交換が必要

③. タッチパネル式タイプ
・使い方
タッチパネルの操作指示に従い暗証番号やマンションの共用キー、ICカードなどで解錠すると荷物が入っているボックスが開く
・メリット
大規模マンション向き。既存の入館システムと連携可能で利用履歴、入居者への通知が届くタイプもある
・デメリット
導入コストが機械式と比べ非常に高い。電気代や管理費、通信費などのランニングコストも発生する。湿度に弱い、システム障害時や停電時には使用不可になる可能性もある
・解錠ができない場合
コールセンターへ連絡

機械式タイプはコストが低くシンプルで使い易いですが、最近の新築・大規模マンションでは電子錠やICカード連動、スマートロックが主流になりつつあります。小規模・中規模マンションでセキュリティ・利便性を重視する場合は、コスト優先で機械式の暗証番号錠タイプやシリンダー錠タイプの宅配ボックスが多く選ばれています。
共有タイプの宅配ボックスで起こりやすいトラブルとは
集合住宅の 共有タイプ宅配ボックス は便利ですが、運用上いくつかのトラブルが発生しやすいです。利用が集中する物件ではボックスが満杯になってしまい、荷物が受け取れないケースもあります。そのため「サイズや個数に余裕があるか」が重要なポイントになります。
その他の多いトラブルとしていくつか紹介したいと思います。
・長期間荷物が放置される
入居者が取り出しを忘れると、他の利用者が使えなくなり、入居者の不満が高まる
・鍵の紛失や暗証番号忘れ
シリンダー錠では鍵の紛失、暗証番号式では不在票への暗証番号の書き間違え、字が汚くて読めない、紛失するケース
・解錠不良
機械式錠の劣化や電子錠の電池切れ、システム障害で開かないトラブル
・利用ルール違反
長期保管や、宅配ボックスを「物置き」として私的に使う住人が出る

宅配ボックスの空き不足・利用者の取り忘れ・設備故障・誤配 が特に起こりやすい問題です。管理組合やオーナー様は「利用ルールの明確化」「通知システムの整備」「定期点検」 が入居者様とのトラブル防止のポイントになります。
最後に
マンションに設置されている宅配ボックスは、主に暗証番号で解錠する機械式(ダイヤル式・プッシュボタン式)と液晶パネルに部屋番号や暗証番号を入力したり、入居時に配布されたICカードや非接触キーをかざしてタッチパネルで解錠する電子式の2種類があり、種類によって細かな操作が異なります。設置を予定している物件にはどんな使い方が最適なのか、入居者数・予算・設置場所に合わせて最適な宅配ボックスを導入してください。

